【よくある間違い】 地球は氷河期に突入している

  気候変動を否定する人たちが「マウンダー極小期が来る」と同じくらいよく使うのが、「地球は氷河期に突入している」という説です。


  地球の気候は、氷河期と間氷期を繰り返しています。原因としてはミランコビッチ・サイクル(離心率、地軸の傾き、歳差運動の変化)が絡み合っているのですが、とても複雑なので、わかりやすく「ほぼ10万年に一度間氷期が訪れ、1万年以上続いた後、また緩やかに氷河期に入っていく」というサイクルを繰り返していると理解してもらって差し支えないと思います。

Petit et al 2000 - Temperature_Interglacials.gif
過去45万年の気温の変化。南極ヴォストクの氷床コアより分析(Petit 2000)。折れ線グラフの上の緑色のバーは間氷期。

  上のグラフは、過去45万年間の気温の変化を折れ線で表したもので、約10万年に一度のサイクルで氷河期と間氷期を繰り返してきていることがわかります。間氷期の長さは一定ではなく、1万年から1万5千年ほど続きます。

  現在の間氷期は約1万1千年前に始まっているため、地球がすでに氷河期に向かっている(入っている)のではないかと考えることはできます。

  ただし、過去の間氷期の二酸化炭素レベルは現在と比べて低く、300ppmを超えたことはありませんが、現在は約400ppmあります。つまり、これまでは人為的な影響を受けていませんでしたが、今回の間氷期は人間活動に起因する二酸化炭素が影響を与えているため、これまでと同じように間氷期から氷河期へと移行するとは考えにくいです。

Archer 2005 - Future temp based on CO2 emission scenarios.gif
3つの排出量シナリオによる二酸化炭素排出量が未来の気温に与える影響(Archer 2005)。

  上のグラフは、二酸化炭素の排出量が気温に与える影響を表したもので、3つのシナリオに基づいています。青線は二酸化炭素の排出量が300Gt、オレンジ色の線は1000Gt、赤線は5000Gtで、時間の単位は千年です。

  私たちはすでに約500Gtの二酸化炭素を排出しているので、青線は無視して結構です。気温上昇を2℃以下に抑えるためのラインと言われている1000Gtが、今後の努力次第で達成できるかどうかという数値(かなり困難)ですが、グラフを見ると、もしも二酸化炭素の排出量を1000Gtに抑えることができたとしても、現在の間氷期は約13万年続くことになります。5000Gtの二酸化炭素を排出してしまうと、次の氷河期は50万年以上先までやってきません。

  現在の排出量を続けた場合、約10万年に一度訪れるはずの氷河期を1回キャンセルしてしまうほどの影響を、私たちは地球の気候システムに与えているのです。

【参照】

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