先住民によるダコタ・アクセス・パイプラインの建設中止を求める訴えが棄却

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※ ここまでの話

  9月に連邦3省庁によって一部地域における建設の一時的な中止命令が出ていた、米ノースダコタ州からイリノイ州を結ぶダコタ・アクセス・パイプラインの恒久的な建設中止を求めていた米先住民のスタンディングロック・スー族による訴えが、10月9日に米連邦控訴裁判所によって棄却されました。

  これによって、一時的に建設が中止されていたミズーリ川に造成されているオアへ湖の東西20マイル(約32km)のうち、連邦所有地であるオアへ湖の隣接地とオアへ湖の地下を除く地域でパイプラインの建設工事が再開可能になりました。

  しかし、中止命令を出していた連邦3省庁は10日に共同声明を発表し、事業主側に当該地域でのパイプライン建設工事を「自主的に」控えるように要請しています。

  つまり、米国陸軍工兵隊が恒久的な建設中止の判断を下さない限り、建設工事は続けられるということです。米国陸軍工兵隊は同声明で、パイプライン建設によるスタンディングロック・スー族の居留地や生活への影響がないかどうかの評価を続けると述べています。最終的な判断には、まだ時間がかかると考えられています。

  今回の米連邦控訴裁判所による判断を受け、スタンディングロック・スー族のチェアマンであるデーブ・アーチャンボルト2世はFacebookの投稿で「スタンディングロック・スー族はこのたたかいから退くことはありません。」と延べています。今後も彼らは先祖から受け継いできた大地や水、聖地と人々を守るために、恒久的な建設中止の判断が下されるまでこれまで通り300以上に及ぶ全米とカナダからの先住民グループと、その他の一般市民のサポートを受けて平和的な抗議活動(彼らの表現では「祈り」)を続けていくことでしょう。

  抗議活動は9月の建設工事一時中止命令後も続けられてきましたが、10日にはパイプライン建設工事現場で平和的に抗議を行っていた約200人のうち、米俳優のシェイリーン・ウッドリーを含む27人が不法侵入の疑いで逮捕されるなど、法執行機関との衝突は続いています。

 このパイプライン建設工事に対する先住民グループの抗議運動には、米政府が先住民政府(先住民は「政府」として扱われるため、本来は「国」対「国」の関係のはずなのです)に対して数百年にわたって行ってきた虐殺や略奪、繰り返された条約の一方的な破棄、企業利益を優先させるために現在も続いている環境正義問題など、今回の件だけではない、先住民の尊厳や人権がかかっています。300以上に及ぶ先住民グループ(中には歴史的にスタンディングロック・スー族と敵対関係にあった部族もあります)が連帯を示しているのが、パイプラインの建設だけの問題ではないことを表しています。

  米政府は、先月の共同声明で述べた先住民の土地や資源、権利を守るために彼らの声に耳を傾けるという言葉を実行に移すことができるかどうかが問われています。


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