温暖化で全村民移住を迫られるアラスカ先住民族の村

  気候変動の影響は北半球の高緯度地域でより顕著で、北極圏の気温は、その他の地域の約2倍の速さで上昇しています。

  気温上昇による海氷や永久凍土の急速な融解と海面上昇の影響を受け、海岸線が浸食されて崩壊する地域が増え、永久凍土上の町や村では、土地が陥没するなど、生活に大きな支障を来すようになってきています。

  その影響を最も受けているのが、北極圏で数千年前から伝統的な生活を続けてきた先住民族たちです。そして、彼らが暮らしているのは、「国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)」で議論の対象になった開発途上国ではありません。経済大国アメリカのアラスカ州で、先住民族の村が相次いで村丸ごとの移住を迫られているにもかかわらず、州政府と連邦政府から移住に必要な資金援助(というか気候変動の被害者なのだから補償金)を得られていない状態なのです。

  アラスカの主要都市、アンカレッジから約800km西に位置する人口約350人の先住民族中央アラスカ・ユピックが暮らす村「ニュートク」は、気候変動によって村ごとの移住計画が進められています。永久凍土の融解により村を流れるニングリック川沿岸の侵食が進んでおり、毎年、川岸から約15~23メートルの土地が失われています。

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Credit: ThinkProgress

  上の地図は、このまま侵食が進んだ場合に、どれくらいのペースで村が失われていくかを表したもので、今世紀半ばを待つことなく、村のコミュニティセンターや空港の滑走路など、生活に不可欠な施設が浸食によって消えてしまいます。

  村ごと移住するために州は連邦政府に対し資金援助を申し込んでいるのですが、ハリケーン「サンディ」など、他の極端な気象現象による被害者救済のための予算とぶつかることもあり、現段階では村の移住に必要な費用が確保できていない状態です。

  そして、同じ理由による丸ごとの移住が必要なアラスカの先住民族の村は、ニュートクだけではありません。エモナック、ガリーナ、テラーの3つの村も、連邦政府からの資金援助を待っています。

  気候変動が原因で移住を余儀なくされる人がいるのは、途上国だけの問題ではないのです。

【参照】

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